Mサイズの戯言(ざれごと)

だいたいMサイズ。Sではないし、Lでもない。「恋愛工学/ファッション/進化人類学、と買い物」

結婚の真の姿を考えたー金融日記328号&337号を読んで 

校正前につきご容赦ください。

 

 人間がそもそも「結婚」という制度に「生物学的にフィットしていない」というのは性欲の観点からは自明かのように語られることが多い。

 

 結婚という制度は多くの文化圏に存在するように言われているが、我々がいくつかの有力な宗教たちに飲み込まれているだけとも言える。

 

 この結婚はホモ・サピエンスの生物的本能なのか、それとも文化的本能なのか、そこが一つの問題点となっている気がする。

 

 この度、金融日記326号及び337号に於いて、「性欲は本能だから、仕方ないと受け入れた時、結婚とは何なのか?」と悩む女性に向けて、自分なりの意見をまとめたものだ。

 

結論:結婚とは本来、性欲の発散や子育てのためにあらず。

   結婚とは、1組のオスと1組のメスが支えながら生きるためにするものである。

 

 私はこの考えをすることによって、1つの結論を得たように思う。

  現代では、明日何が起きても解決できるだけの財産をもったバリューの高い人もいるだろうが、金融日記の読者の中で、自分は大丈夫だと言いきれる男性は何人いるのだろうか?

 

 結婚は絆の力によって、2つの個体がより生き残りやすいようにするための効率的な戦略なのだったののではないか。

 

この結論に至ったのは以下の2つの謎に共通の解が存在しているように思えたからだ。

謎1:1人の女性に対して性欲は何故4年で尽きる”必要がある”のは何故か。

謎2:男性からもオキシトシンが出、異性の魅力を感じにくくなるのはなぜか。

 

 

 

 

謎1:1人の女性に対して性欲は何故4年で尽きる”必要がある”のは何故か。

allabout.co.jp

 上記のサイトにもみられる通り、恋愛を司るPEAという脳内物質は4年経つと一つの個体に対して打ち止め状態になる。このPEAが出なくなると、興奮を司るベータエンドルフィンが出なくなる。

 このことから、男は4年で1人の女に飽き、次の女を探しに行くというのである。

 これが本当だとすれば、子どもができて、2,3年で男はその女を離れることになり、あまりに女性に不利なこの生理現象がなぜ、人間に必要なのか?

 

謎2:男性からもオキシトシンが出、異性の魅力を感じにくくなるのはなぜか

 

「幸せホルモン」と言われるオキシトシンは、子どもや家族を所有し、それと一緒にいると分泌され、幸せを感じるホルモンだ。

 このホルモンは出産時や、授乳中などにでることから女性用のホルモンだとおもわれていたが、男性の体内にも存在している。

 このホルモンを摂取した既婚男性は、非摂取時の男性に比べ、他の女性に興奮しづらくなる。不思議なことに、独身男性ではこの現象は発生しない。

tenshoku-maquia.com

  一方では1人のパートナーに性的な魅力を感じなくなっておきながら、他の女性にも興奮しづらくなっているのはなぜか?

 

補足:農業革命に騙されるな

 サピエンス全史を読んだ方ならご存知だと思うが、ホモ・サピエンスがまだ、アウストラロピテクスだった頃から継続して狩猟採集をして生活してきた。

 199万年間は狩猟採集をして過ごしてきたが、1万年前、人類は「農業」を手に入れた。

 狩猟採集社会では、食べ物は保存できないため、即座に共有されていた。しかし、農業革命により「なんでも共有」という価値観は壊れ、「資産を守る」という概念が根付いた。

 同時に、貧富の差が生まれ、富むもの・貧しいもの、持つもの、持たざる者の権力関係が生まれる。

 一説によると、農業革命後、すぐに貧富の差は生まれ、1人のオスが20人のメスに種付けをし、残りは子孫を残せず潰えていたという説もある。

 

 最大の不幸は狩猟採取社会の男女平等が崩壊し、母系社会、もしくは父系社会に偏っていった。

 結果、父系社会では女性やこどもが資産ととらえられるようになった。

 ●参考

www.zaregoto.tokyo

 

男女の絆もより明確にするため、結婚のような制度が生まれたと考えられる。

 詳細は別の機会に譲るが、現代の5大宗教は戦争の歴史の中心で拡大してきた。逆に言うと、「貧富の差を超えて団結し、戦争を勝ち抜くため」の宗教なのだ。

 

 

 

 私はいかの2つを読むことで先ほどの結論を得た。

●性の進化論

●ヤノマミ

※のちに紹介する。

 

<ホモ・サピエンスはどういう性生活をしていたか>

 近年まで文明と接触のなかったアマゾンの民族などにみても、やはり結婚という制度は存在する。

 結婚することは自然な概念である可能性が高い。

 

 また、狩猟採集民族の中での子育ては所属する集団全員で行う。分割父性という概念があり、子どもの父親が複数という概念がある。

  結果、子どもの父と家族の父は一致しないという概念が根付いている。

 

 狩猟採集時代では、そもそも性行為と妊娠の因果関係が理解されていなかったと推測される。

 現存する狩猟採集民族たちの中でも、複数回の性行為の積み重ねが妊娠につながると考えられている。そのため、妊娠までの間に性行為をした父親は全て父親という概念なのだ。

 人間の女性が排卵期を隠しているのは、このように分割父性により、「複数の保護者」を手に入れるために獲得した能力の可能性が高い。

 

 婚外の性行為がネガティブではなく、肯定され、ときには義務とされている傾向も見て取れる。

 ブラジルのマティス族では、知り合い同士がダンスの相手を入れ替えるように入れ替わり性行為をする。その文化圏で一番寒いのはそれを断ることで、ひどい時には罪に問われるという。

 

 サピエンス全史でも狩猟採集時代では、定期的な狩りや採集が必要だが、1日3時間程度の労働以外は余暇を謳歌していた可能性が高い。

 その余暇の一番の楽しみが性行為であり、それはお互いがお互いの性を共有しあうことであった可能性が高い。

  隣人と、旅人と、親友と・・・様々な相手、きっかけだが、婚外の性交渉が文化として残っているのは、有名なマサイ族でも未だに残る風習だ。

 

<ホモ・サピエンス的に正しい結婚とは>

 前述の通り、結婚は存在していたと思われる。

 

 しかし、子育ては集団でするし、性行為もみんなでしあう。

 そうなったとき、なぜ、彼らは結婚をしていたのだろうか。

 

 それは相互に助け合うためだった、と言わざるを得ない。

 

 ホモ・サピエンスはたくさんの旅をする種族でもあった。

 

 所属する集団が大きくなった時、いくつかの夫婦が新たな地を求めて、母集団を出て、世界各地へと散らばって行った。そして、いつの間にかホモ・サピエンスはこの広大な地球のあちこちに散らばっていった。その拡大を支えたのは互いに支えたいと思っていた夫婦たちであると思う。

 

 性行為のために結婚するのであれば、PEAが出なくなる必要はない。

 PEAが出なくなくなるのは、2人が次の関係に行くまでの儀式に違いない。

 

 

 そして、女性は「オキシトシン」によって、子どもや夫と寄り添いたいと思うようになり、男性はほかの女性から「妻」を気にかけるようになる。

 ※残念ながら男性はオキシトシンによって、異性への興味が減るが、自分で生成できることは少ないため、常時異性に興味がないのではなく、特別な存在(=妻)にだけ気が向きやすくなる程度だと考えられる。

 

 

 もともと、ホモ・サピエンスには、

 ・「財産を子に残す」などといった本能はない。

 ・子どもを夫婦だけで育てるという本能はない。

 ・他人との成功を咎めたいという本能もない。

 

 夫婦というのは、性衝動ではなく、長期的に時間を共にしたことで生まれる絆(オキシトシン)によって繋がった相互補助の最小単位なのだ。

 

 現代では、明日何が起きても解決できるだけの財産をもったバリューの高い人もいるだろうが、金融日記の読者の中で、自分は大丈夫だと言いきれる男性は何人いるのだろうか?

 

 結婚は絆の力によって、2つの個体がより生き残りやすいようにするための効率的な戦略なのだったのだろう。

 

  近年、急速に誕生した”文化的本能”にがんじがらめではない結婚生活を送ってもいいのではないだろうか。

 

 当該の女性には、性欲の発散は外で済ませ、素敵なアルファ男性との絆を深めることに注力していただきたい。

 

※予告:次回は歴史の観点から補強する文章を書きます。

 

<参考図書> 

性の進化論――女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?

性の進化論――女性のオルガスムは、なぜ霊長類にだけ発達したか?

 

 

ヤノマミ (新潮文庫)

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