【結婚って何?#5】フレディとメアリーとホモサピエンス
※ネタバレ含みます。
ボヘミアン・ラプソディ見ましたか?
見た方は「フレディとメアリーはいつの間に終わったん?」と思ったり、
「離婚しておいて、何でライブ観に来るん?」みたいに疑問を思ったと思います。
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※映画を知らない人はこちら。
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2時間20分ぐらいあるんですけど、飽きずに観れましたし、ラストのライブパートは噂通りテンション上がりましたね。
さて、さっそく「フレディ」と「メアリー」について語りたいと思います。
①フレディとメアリーは離婚したけど、近くに住んでたのか?
②なぜ、メアリーがドイツに来たり、ライブに来たりするのか?
③史実通りのフレディとメアリー:なぜメアリーが遺産を相続した?
④ホモ・サピエンスから見た三角関係の妥当性
© Richard Young / Rex Features
①フレディとメアリーは離婚したけど、なぜ近くに住んでたのか?
映画の中でフレディはメアリーに対して言いました。
フレディ「僕はバイセクシャルかもしれない」
メアリー「いいえ、あなたはゲイよ。気づかないふりしていたけど、気づいてた」
そして、メアリーは部屋に閉じこもってしまいます。
その次のシーンでは別の場面に移り、しばらくして、フレディが家を購入した時に、メアリーとは既に別居していることがわかります。
その後、電話しながらお酒を飲む描写が合ったりします。
あとは、ライブに時々来たり、ドイツでドラッグとゲイパーティー漬けになったところを助けに着たり、ライブエイドを見に行ったりします。
物語を見ていても、明確にどの時期を境に離婚をしたかは描かれていません。
物語の中では、フレディが同性愛者であることを知られてしまった日に離婚しています。
②なぜ、メアリーがドイツに来たり、ライブに来たりするのか?
では、何故メアリーがドイツに来てまでフレディを諭したりするのでしょうか。
フレディとメアリーは性愛的な関係としては終了していましたが、ひと対ひととしてはお互いに尊敬し、愛し合っていたからです。
メアリーはフレディにとって、妻に迎え歌まで贈った人です。
彼女のことを歌った歌まで作った人です。
何よりも、まだ同性愛の偏見が強かった時代に、同性愛者であること打ち明けた後も、優しくしてくれた彼女に感謝していたのでしょう。
離婚したあとも部屋を買い与えたことにも、その愛情が表れています。
メアリーは貧しい家の出身で、いつも自分に自信がなかったようですが、そんな彼女に勇気を与えたのはフレディで、彼女はフレディのことを尊敬していました。
2人は離婚後も強い絆で結ばれており、互いに気にかけ、支えあって生きていました。
だからこそ、フレディのことを気にかけたメアリーは、大事なライブのタイミングや、みんなが心配しているときに、彼のもとに足を運び、彼の助けとなっていたのです。
と言いましたが、実はここまでの流れと史実と異なっています。
実際の時系列に直すことで、あなたはもっと「フレディとメアリーの絆の強さ」を知ることになるでしょう。
③史実通りのフレディとメアリー:なぜメアリーが遺産を相続した?
実はこのボヘミアン・ラプソディの映画はどうしても映画の時間に納めなくてはいけないため、いくつかの出来事が前後したり、同じ現場で起きたり、史実と異なっています。
物語では、メアリーと離婚したフレディはゲイカルチャーにどっぷりとハマり、史実通り、ゲイバーやクラブに行き、セックスの相手を探していました。
しかし、実際では離婚する前から男性と関係を持ち始めていたようです。
余談ですが、新居でのパーティーで使用人として登場するジム・ハットンとはこのゲイバーで出会ったというのが史実です。
また、最後のテロップでさらっと出ていましたが、「フレディの遺産のほとんどはメアリーが相続した」と出ていますが、「え?ジムじゃないの?」って思いませんでしたか?
じつは、史実ではメアリーと離婚後、メアリーの職業を懸念したフレディはクイーンの経理担当としてメアリーを雇います。
夫婦として信頼関係を結んでいた二人ですが、離婚後はビジネス・パートナーとしてその関係を維持していたのです。
フレディはよく仕事のことでもメアリーに相談しており、全ての信頼を彼女に寄せていました。
それなら遺産を相続するのもうなずけますよね。
確かに、海外のライブ会場にわざわざ出現したり、ライブエイドの舞台裏にいたり、しれっとドイツの滞在先をしていたり・・・変でしたよね。
実は、ビジネスパートナーだから知っていたのです。
④ホモ・サピエンスから見た三角関係の妥当性
フレディ・マーキュリーをめぐる三角関係は、平和的でありますが、この三角関係にはホモ・サピエンスにとっての結婚の正体が隠れています。
それは性愛と愛の違いです。
性愛とは性衝動を含む愛で、「PEA」と「テストステロン」の2つの脳内物質によって起こされるものです。
そして、性行為によって「ベータエンドルフィン」という快楽物質が脳を駆け巡り、幸福を感じます。
「愛」とは、上記の性愛とは異なる性質をもつもので、家族愛や夫婦愛に通じるものです。
脳内物質の観点から見ると、PEAとテストステロンによって結ばれたパートナーたちは4年が経つ頃には「PEA」と「テストステロン」が出ない状態に陥ります。
これがセックスレスの原因になるものです。
人間は性愛によって、互いに興味を持つのですが、この愛は4年で取り上げられてしまいます。
その代わりに与えられるのが、「オキシトシン」です。
オキシトシンは一緒にいるだけで「幸せ」を感じるようになり、お互いを思いやるようになります。
そして、オキシトシンが出ると、他の性対象に対して、性欲がわかなくなるのです。
フレディはメアリーと長年連れ添い、性愛を超え、オキシトシンにより結び付いた「愛」の絆で結ばれていたのでしょう。
ジムハットンとは7年間、連れ添い彼らもオキシトシンによって結び付けられていたに違いありません。(男性同士はオキシトシンが出づらいという説もありますが)
人間の幸福は一夫一妻のパートナーを獲得することではなく、時には性別の枠も超えて、たくさんのオキシトシンによって結ばれた信頼できるパートナーを獲得することが、我々ホモサピエンスの幸せなのではないでしょうか。