「損する結婚 儲かる離婚」を読んで「大奥」を思い出した話。
ずっと気になっていたメルマガ金融日記の著者であり、恋愛工学の設立者・藤沢数希の本を読んでみました。
「損する結婚 儲かる離婚」。
どんな内容か?
<①テーマはコンピ>
この本のメインテーマとなっているのは「コンピというものが、離婚の際に金をむしり取る」ということである。
コンピとは?婚姻費用の事であり離婚を前提とした夫婦が同じ生活を継続できるように収入が高い方から低い方に支払われる費用のことである。
(参考:婚姻費用とは?)
離婚と言えばと多額の慰謝料が支払われるイメージだ。
したし、実際は100万から200万程度であることが多く、離婚時に男が悩まされるのはこのコンピであることがほとんどである。
コンピとはお互いの収入や子供の有無によってほぼ自動的に算出されるものであり、裁判期間の1月につき払う金額である。
つまり、コンピの金額は、1ヶ月ごとに支払われる金額が決まっているため、時間が長引けば長引くほど、支払われる総額は多くなるという仕組みなのである。
藤沢所長はこの著書において、コンピが離婚を高額なものにしている点を詳らかにするだけではなく、低所得側が浮気などの不貞を働いても、コンピはもらえるのは低所得者側であるという恐るべき日本の婚姻制度を暴き出している。
なお、タイトルの「儲かる離婚」はこのコンピのことを指している。
②進化人類学的視点から見るベストな結婚とは?
本書の後半では、藤沢所長らしく進化人類学の観点から人間のあるべき結婚の姿を読み解いている。
詳細な解説は省くが、本によると人間とは本来一夫多妻をベースに社会を形成している。あくまでも一夫一妻はキリスト教文化を中心とする文化圏の習慣で本来、人間全てに共通している価値観ではなかった。
様々な動物の生態系と照らし合わせると人間は一夫一妻と一夫多妻が混合する状態が望ましいと推察している。
これは男女ともに、実体験から腑に落ちる主張なのではないだろうか。
また著者は日本の法律が他の先進国に比べて劣っている点を指摘している。
他の先進国では婚外子が一般化しており結婚せずとも子供を作ることがもはや普通といえるレベルに達している。
先進国では40%から60%であるのに対し日本はわずか2%となっている。
日本は法律的にもそして価値観的にも結婚しないと子供産むことができないと言っていいに等しいくらい、未婚の子育てに厳しい。
日本は早急な法律回線と価値観の見直しをしない限り、少子化に歯止めをかけることができず、また不幸な結婚と離婚を繰り返させるを得ないと言うことができる。
今後は法律の改善により結婚しなくても子供を産むことが一般的になっても破綻しない社会づくりが望まれる。
藤沢所長は、本書において具体的な解決策は提示していない。
法律はそんなに急に変わる事は無い。われわれはどのようにすればコンピに悩まされず、社会の目や法律に苦しめられず、幸せで気軽に子供を持つことができるのだろうか。
これこそが、今20代後半から30代中盤の我々がトライ&エラーと英知を集結し、勝なくてはいけない解決しなくてはいけない命題であるし、書き換えなくてはいけない価値観である。
<③最後に:よしおかふみの「大奥」を思い出した話>
本書について「この本は、女性版恋愛工学だ」という意見が多く見られていたが、私はそのことに違和感を感じていた。
よしながふみの「大奥」という漫画をご存知だろうか。
多くの男性が不治の病「赤顔疱瘡」にかかり、ほとんど女だけになってしまった江戸時代を題材にした恋愛歴史漫画だ。
その世界では男はふらふらと自分が好きなことをし、女が仕事も育児もするというのが町人のスタンダードとして描かれている。
内閣府のデータによると、2015年度の調査によると、男性の生涯未婚率は23.4%となり、男の5人に1人は結婚にありつけないということになっている。これはある意味日本の5人に1人は赤面疱瘡にかかった「大奥」の世界と同じである。
参考:第1-特-20図 生涯未婚率の推移(男女別) | 内閣府男女共同参画局
ワーストケースシナリオとしては、イケメンは結婚しなくなり、結婚を必要としない女子がイケメンに子どもを生むための子種を乞うようになる。
そして、イケメンに金と権力が集中していく・・・まさしく、漫画「大奥」のように・・・。
・・・なんて、最後は妄想を並べてしまいましたが、日本の少子化の加速っぷりが不安です。
自分も当事者として、解決策を見出さなくてはと思う次第です。
余談ですが、よしながふみの「大奥」はかなり面白いので男性にもお勧めです。